ゲキ×シネは今年で20歳になりました。この節目にどうしてもゲキ×シネとして上映したかったのが本作『吉原御免状』。隆慶一郎さんの小説に触れたとき、その世界観に圧倒されました。豊富な知識で歴史書のような瞬間がありながら、宮本武蔵を師に持つ圧倒的な剣豪と吉原の秘めた成り立ちをめぐる壮大なエンタテインメント。後に出版されている全小説を読了して、5年という小説家として極めて短い活動を知り、それ以上読み進められないことを惜しみました。この舞台を撮影する意義を深く刻み込み、奮起した理由の一つです。
当時ゲキ×シネとして製作するつもりでしたが、上映まで辿り着けませんでした。だからといって本作への熱意は消えることなく、どこかで必ずやり遂げたい。ことあるごとに強く念じ続けてきました。まさかこれほどの時間が経過してチャンスが到来するとは知る由もなかったです。
こうして再挑戦する上でまず考えたのは、今現在持てる総力を持って19年前に挑みたい。2005年には出現していなかった技術や持ちあわせていなかった知識を使って、世に送り出す。大いにエキサイティングなチャレンジです。
エンドクレジットには、すでに鬼籍に入られた方もおられ、時間がとても深く刻まれたことが実感できます。この作品に関わったすべてのキャストとスタッフに深く感謝いたします。
ゲキ×シネ第28作、時代を超えて登場する新作、そして19年を経た執念の上映。
とくとご覧ください。